東京高等裁判所 昭和30年(ラ)617号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事案〕X(抗告人)は債務者Aの電話加入権に対し仮差押をし次いで確定判決に基き本差押をした上、譲渡命令を申請してその旨の命令を得た。しかるにこれより先Aの電話加入権に対してはY(相手方)の差押があり、Yは右譲渡命令に対し異議を主張したので、原審はこれを容れて命令を取消した。これに対するXの即時抗告。
「電話加入権に対し一債権者からの申請に基き差押がされている場合に右加入権に対する強制執行が終了しない限り更に債権者から同一加入権に対し差押をすることができることは、有体動産に対する強制執行につき既に差押えた物につき他の債権者の為更に差押をすることを得ないものとする民訴五八六条一項が存するに拘らず、債権及び他の財産権に対する強制執行については民訴法上右のような規定が存しないこと、及び同法六〇九条一項三号の規定が債権の差押前既に他の債権者からの差押の行われることがあるべきことを前提とする趣旨を有していることに照らし明らかであり、而してすでに右の通り一電話加入権に対し二以上の差押が競合するに至つた場合に各差押債権者は特に法律上優先権を有しない限り互に他の債権者からの差押により、もはや差押に係る加入権につき民訴六二五条三項に基き自己のみに譲渡命令を受けることを得なくなつたものと解すべきことは差押債権者に対し平等配当主義を採る民訴法の法意に照らし疑を容れないところである。然らば本件電話加入権に対し本件譲渡命令がされる前に相手方Yからの差押がされている以上、右差押より先にXからの仮差押がされてあつても、もはや抗告人Xのみに対し譲渡命令をすることは許されなくなつたのである。」抗告棄却。